暗号資産の税金は20%になる?税制改正大綱を用いてわかりやすく解説

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悩む女性
  • 暗号資産の税金は20%になる?
  • いつから変わるのか、どの取引が対象なのか知りたい。

2026年度税制改正では、一定の暗号資産取引について、現在の総合課税から20%の申告分離課税へ変更する方針が示されています。ただし、すべての暗号資産取引が対象になるわけではなく、適用開始時期も金融商品取引法の改正・施行時期によって決まります。

この記事では、暗号資産の税金が20%になる時期や対象となる取引、海外取引所やDEXの扱い、損失の繰越控除について解説します。

暗号資産の税金は現在何%?

現在、暗号資産取引で得た利益は、原則として雑所得に区分され、ほかの所得と合算して税額を計算する総合課税の対象です。

所得税の税率は課税所得に応じて5%〜45%となり、これに個人住民税(+10%)や復興特別所得税などが加わります。

課税される所得金額合計税率の目安
195万円未満15.105%
195万円以上330万円未満20.21%
330万円以上695万円未満30.42%
695万円以上900万円未満33.483%
900万円以上1,800万円未満43.693%
1,800万円以上4,000万円未満50.84%
4,000万円以上55.945%

一方、2026年度税制改正では、一定の暗号資産取引について、ほかの所得と分けて20%(所得税15%・個人住民税5%)で課税する方針が示されています。復興特別所得税や防衛特別所得税を含めた実質的な負担率は20.315%となります。

ただし、20%の申告分離課税はすでに適用されているわけではありません。また、すべての暗号資産取引が対象になるわけではないため、対象となる取引や適用開始時期を分けて確認する必要があります。

暗号資産の税金が20%になるのはいつから?

暗号資産取引への20%の申告分離課税は、現時点では開始時期が確定していません。

2026年度税制改正大綱では、金融商品取引法の改正を前提として、一定の暗号資産取引を申告分離課税の対象とする方針が示されています。

大綱とは?
大綱(たいこう)とは、物事の基本的な方針や大まかな内容をまとめたものです。
「税制改正大綱」は、税金を今後どのように見直すかについて、政府・与党の方針をまとめた資料を指します。

3金融・証券税制

(2)金融商品取引法等の改正を前提に、次の措置を講ずる。

引用:令和8年度税制改正の大綱(1/9)

適用開始日は、金融商品取引法の改正法が施行された年の翌年1月1日とされています。

3金融・証券税制

(注1)上記①及び③の改正は、金融商品取引法の改正法の施行の日の属する年の翌年の1月1日(以下「適用開始日」という。)以後に行う特定暗号資産の譲渡等について適用する。

引用:令和8年度税制改正の大綱(1/9)

たとえば、2026年中に改正法が施行された場合は2027年1月1日から、2027年中に施行された場合は2028年1月1日から適用される形です。

そのため、現時点では「2027年から20%になる」と断定することはできません。今後、金融商品取引法の改正内容や施行日が決まり次第、具体的な適用開始時期も明確になります。

20%の対象になる暗号資産取引

20%の申告分離課税は、すべての暗号資産取引が対象になるわけではありません。

2026年度税制改正大綱では、対象となるのは、暗号資産取引業を行う者に対して「特定暗号資産」を譲渡等した場合とされています。ここでいう特定暗号資産とは、金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等を指します。

3金融・証券税制

① 居住者等が、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る。以下「特定暗号資産」という。)の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、他の所得と分離して 20%(所得税 15%、個人住民税5%)の税率により課税する。

引用:令和8年度税制改正の大綱(1/9)

つまり、国内の登録業者を通じて対象となる暗号資産を売却・交換した場合などが、20%の申告分離課税の対象になる想定です。

海外取引所やDEXの利益も20%になる?

海外取引所やUniswapなどのDEXで行った暗号資産取引は、現時点で示されている制度案では、20%の申告分離課税の対象外となる見込みです。

2026年度税制改正大綱では、20%の対象を、暗号資産取引業を行う者に対して「特定暗号資産」を譲渡等した場合としています。

3金融・証券税制

① 居住者等が、暗号資産取引業(仮称)を行う者に対して暗号資産(金融商品取引業者登録簿に登録されている暗号資産等に限る。以下「特定暗号資産」という。)の譲渡等をした場合には、その譲渡等による譲渡所得等については、他の所得と分離して 20%(所得税 15%、個人住民税5%)の税率により課税する。

引用:令和8年度税制改正の大綱(1/9)

そのため、海外取引所やDEXで直接行った取引については、国内の登録業者を通じた取引とは扱いが異なり、従来どおり総合課税の対象となる可能性があります。

ただし、制度はまだ施行前のため、最終的な対象範囲は今後の法改正や関連制度の内容を確認する必要があります。

暗号資産のレバレッジ取引も20%になる?

暗号資産のレバレッジ取引などのデリバティブ取引についても、特定暗号資産に係る取引は20%の申告分離課税の対象となる予定です。

2026年度税制改正大綱では、特定暗号資産に係る暗号資産デリバティブ取引を、先物取引に係る雑所得等の課税の特例の対象へ加える方針が示されています。

3金融・証券税制

④先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金等決済に係る損失の繰越控除の適用対象に、暗号資産デリバティブ取引(特定暗号資産に係るものに限る。以下「特定暗号資産デリバティブ取引」という。)に係る雑所得等を加える。

引用:令和8年度税制改正の大綱(1/9)

金融庁の資料でも、暗号資産取引業者が取り扱う暗号資産を原資産としたデリバティブ取引について、現在の総合課税から申告分離課税20%へ変更する内容が示されています。

◆ 暗号資産取引に係る課税の見直し

暗号資産取引業者が取扱う暗号資産を、原資産とした暗号資産デリバティブ取引を分離課税とする。

引用:令和8(2026)年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項-

そのため、国内の登録業者が提供する対象の暗号資産レバレッジ取引についても、税制改正後は現物取引と同様に20%の申告分離課税となる予定です。

ただし、対象となるのは特定暗号資産に係るデリバティブ取引に限られます。制度の適用開始前であるため、最終的な対象範囲は今後の法改正や関連制度の内容を確認する必要があります。

ステーキングやレンディングの報酬も20%になる?

2026年度税制改正大綱では、特定暗号資産の譲渡等やデリバティブ取引について、20%の申告分離課税とする方針が示されています。

一方、ステーキングやレンディングによって受け取る報酬については、20%の申告分離課税の対象として明記されていません。

そのため、現時点では、ステーキング報酬やレンディング報酬は20%の申告分離課税の対象外となる可能性が高いと考えられます。

ただし、今後の法改正や国税庁などの案内によって取り扱いが明確になる可能性があります。

税制改正のメリット

暗号資産の税制改正では、税率が20%になること以外にも、損失の繰越や国内取引所を利用する際の税制面でのメリットがあります。

主なメリットは、以下の2つです。

暗号資産の損失を3年間繰り越せるようになる

2026年度税制改正大綱では、20%の申告分離課税の対象となる暗号資産取引で損失が発生した場合、翌年以後3年間にわたって損失を繰り越せるようにする方針が示されています。

繰越損失の例
1年目 100万円の損失
→
2年目 150万円の利益
→
課税対象 50万円

現行制度では、暗号資産取引による損失を翌年以降へ繰り越すことはできないため、大きな変更点の一つです。

国内取引所全体の流動性が高まる可能性がある

国内取引所では、取扱銘柄やレバレッジ倍率に制限があるため、より多くの銘柄や幅広い取引条件を求める場合、海外取引所やDEXが有力な選択肢になっていました。

しかし、税制改正によって国内の暗号資産取引業者を通じた一定の取引が20%の申告分離課税の対象になれば、税負担の面で国内取引所を選ぶメリットが大きくなります。

その結果、これまで海外取引所やDEXを利用していた一部のユーザーが国内取引所へ移ることで、国内市場の取引量や流動性が高まる可能性があります。

特に、現物取引だけでなくレバレッジ取引も20%の申告分離課税の対象となる予定のため、税制面の違いが国内取引所の利用増加につながる可能性があります。

まとめ

暗号資産取引による利益は現在、原則として雑所得に区分され、ほかの所得と合算して税額を計算する総合課税の対象です。

一方、2026年度税制改正では、国内の暗号資産取引業者を通じた一定の取引について、20%の申告分離課税へ変更する方針が示されています。

税制改正が実施された場合は、暗号資産の損失を3年間繰り越せるようになるほか、国内取引所を利用する税制面でのメリットも大きくなる可能性があります。

ただし、海外取引所やDEXで行う取引、ステーキングやレンディングで受け取る報酬については、20%の申告分離課税の対象外となる可能性が高いです。

また、20%の申告分離課税が開始される時期はまだ確定していません。今後、金融商品取引法の改正や施行時期が決まることで、具体的な適用開始時期も明確になります。